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GONGON の無線日誌

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160m から 2m まで DX 追っかけ生活の悲喜交々

50W で 2m EME を実現するには(その1)

モードは CW でなく WSJT を使ったデジタルモードの JT65B に限定する.

出力を 50W と限定しているのでアンテナが成功への重要なファクターになる.ここを見ると,一般的に八木アンテナの利得はエレメント数にはあまり関係なくてブーム長で決まると言える.QRO ならば周辺の雑音を避けるためにビームパターンにも気をつかう必要があるが,ここでは QRP なので気にしない.

まずは聞こえなくては話にならない.経験的には 2wl(ブーム長が2波長.すなわち 4m)前後のスタック(例えば CD 社製 2X209)から Big gun の受信が出来る.3wl 以上ならシングル八木でも受信できる可能がある.ちなみに自宅に上げてある 1.2wl では超 Big gun でも希にしか受信できていない.なお同軸が 5D2V あたりだと直下型プリアンプがないと難しい.そうでなくてもせめて卓上プリは用意したほうが望ましい.( 50W で deaf になる可能性だってある!)

問題は送信.50W は例えば 500W と比べて 10dB も小さな出力.現在 JT65B モードでのデコード限界は -28dB とされている.特に訓練された人が耳で聞き取れる電信の S/N 比の限界が -20dB 程度と思われるので,電信に比べると 8dB のマージンがある.

同軸やコネクタでのロスを無視すれば,あとは単純な計算である.相手が 500W と想定すると (-28)+10=-18 となり相手が S/N 比 -18dB で受信できれば,相手には S/N 比 -28dB で届くハズ.諸外国の Big gun 達は非常にノイズの少ない場所/システムであることが多く,実際には S/N 比 -22dB 程度で受信できれば届くことがある.

なお EMEer には比較的リーガルパワーにはこだわらない人が多いが,「」はダメである.目出度く成功した時に相手に出力を尋ねられたら免許に何ワットと書かれていようが,実際の出力(どうしても嫌なら「それは聞かないでくれ」と)答えるべきである.なぜならば QRP の相手をしてくれる局は耳競争をしているからであるから.それに上でわかるように大凡は計算出来る(笑

僕の現システムでの最小設備相手の記録は 2 x 3wl, 50W の国内局と 1 x 3wl, 100W の外国局(複数局).どちらも同じ EIRP というのが面白い.

注)ここで言っている S/N 比とは,WJST ソフトウェアで表示される S/N 比.
by JM1WBB | 2010-12-26 23:49 | EME
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